弁護士選び

弁護士から連絡がこない — 放置される依頼者の対処法

弁護士マップ編集部
5分で読める

「依頼してから2週間、弁護士から一切連絡がない」

ある相談者はこう語った。交通事故の示談交渉を弁護士に依頼し、着手金30万円を支払った。「進捗があればご連絡します」と言われたまま、2週間が過ぎた。こちらからメールを送っても返信がない。電話をかけても事務員が「折り返します」と言うだけで、折り返しはこない。

この状況は珍しくない。弁護士マップに寄せられた口コミには、連絡の遅さや無応答に関する不満が繰り返し登場する。問題は、どこまでが「忙しいだけ」で、どこからが「放置」なのか、依頼者には判断がつかないことだ。

なぜ弁護士から連絡がこないのか — 3つのパターン

弁護士が連絡をしない理由は、大きく3つに分類できる。

1. 案件過多による物理的限界

個人事務所の弁護士が同時に抱える案件は、一般的に30〜50件と言われる。事務員が1人もいない事務所も珍しくない。この状態では、緊急性の低い案件への連絡が後回しになる。裁判期日が近い案件、相手方から書面が届いた案件が優先され、「待ち」の状態にある案件の依頼者には意識が向きにくい。

これは弁護士の怠慢というより、構造的な問題だ。しかし、依頼者にとっては事情を知る術がない。

2. 優先度判断のずれ

弁護士にとっては「特に動きがないので連絡する必要がない」と判断している期間でも、依頼者にとっては「何が起きているかわからない」という不安な期間だ。このギャップが不信感を生む。

特に示談交渉や調停の待機期間は、弁護士側には「やることがない」時期だが、依頼者側には「放置されている」と映る。プロとしてはこの期間にこそ一報を入れるべきだが、それを怠る弁護士は少なくない。

3. 単なる怠慢、あるいは事件放置

最も深刻なパターンだ。実際に弁護士マップの口コミには次のような投稿がある。

こちらから連絡し「所内で検討します」との返信後、1ヶ月音沙汰無し(星1)
HPからお問い合わせをしたが、結局返信がなかった(星3)
問い合わせをしたが返答がなかった。また弁護士会による懲戒請求を受けていることが後に分かった(星1)

3つ目の口コミは特に示唆的だ。連絡がこない背景に、その弁護士自身が懲戒手続きの渦中にあったという事情が隠れていた。依頼者がこの事実を知ったのは、すべてが手遅れになった後だった。

弁護士には報告義務がある

多くの依頼者が知らない事実がある。弁護士職務基本規程第36条は、弁護士に対して依頼者への事件経過の報告義務を明確に課している。

弁護士は、必要に応じ、依頼者に対して、事件の経過及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し、依頼者と協議しながら事件の処理を進めなければならない。
— 弁護士職務基本規程 第36条

つまり、弁護士が長期間にわたって一切の連絡をしないことは、職業倫理に反する行為だ。「忙しい」は理由にならない。報告義務は案件の多寡に関係なく存在する。

連絡がこないときの具体的な対処ステップ

ステップ1:書面で催促する(1〜2週間目)

電話やメールで連絡がつかない場合、内容証明郵便で状況報告を求める書面を送る。内容証明にする理由は「催促した事実」を証拠として残すためだ。書面には以下を含める。

  • 依頼日と着手金の金額
  • 最後に連絡があった日付
  • 現在の進捗状況の報告を求める旨
  • 回答期限(受領後7日以内が一般的)

費用は1,500円程度。この段階で返信がある弁護士がほとんどだ。内容証明が届いたという事実自体が、弁護士に「これは放置できない」というシグナルを送る。

ステップ2:弁護士会に相談する(3〜4週間目)

内容証明への回答がない、あるいは回答の内容が不誠実な場合は、その弁護士が所属する弁護士会の「市民窓口」に相談する。弁護士会は所属弁護士に対する苦情を受け付けており、弁護士に対して注意や指導を行う権限を持つ。

弁護士会への苦情申立ては無料だ。弁護士会が介入した時点で、大半の弁護士は対応を改める。

ステップ3:弁護士を変更する

それでも改善しない場合、弁護士を変更すべきだ。委任契約はいつでも解除できる。着手金の返還は原則として難しいが、「着手金を支払ったのに実質的な業務が行われていない」場合は、返還を求める法的根拠がある。

新しい弁護士を探す際は、弁護士検索で候補を見つけ、口コミで他の依頼者の体験を確認してから面談に進むのが賢明だ。

「事件放置」は懲戒処分の典型である

弁護士マップが保有する2,176件の懲戒処分データには、事件放置を理由とする業務停止処分が多数含まれている。懲戒処分の中でも「事件放置」は最も件数が多い類型のひとつだ。

典型的なパターンはこうだ。依頼者から案件を受任し、着手金を受け取った後、裁判所への書面提出を怠り、期日にも出頭せず、依頼者への連絡も絶つ。気づいたときには時効が成立していた、あるいは敗訴が確定していた、というケースが実在する。

依頼前に弁護士の懲戒歴を確認することは、こうしたリスクを避ける最も確実な方法だ。懲戒処分データベースでは弁護士名で検索でき、処分の種類と理由を確認できる。

あなたの声が、次の被害を防ぐ

弁護士から連絡がこなかった経験は、他の相談者にとって極めて重要な情報だ。「この弁護士は連絡が遅い」という口コミがあるだけで、次の依頼者は別の選択をできる。

弁護士マップでは現在81件の口コミが投稿されている。48,136名の弁護士に対してこの数字はまだ少ない。あなたの体験を口コミとして投稿することが、法律業界の透明性を高める一歩になる。

弁護士を検索する →

この記事をシェア

弁護士を探してみる

全国48,000名以上の弁護士情報・口コミ・懲戒処分歴を無料で確認できます。