「家族が逮捕された」と聞いた瞬間、何をすべきか
突然の電話で「ご家族が逮捕されました」と告げられる。頭が真っ白になる。この時、最初の72時間の対応が、今後の人生を左右する。
刑事事件は時間との勝負。特に逮捕直後の行動が結果を決めることが多い。慌てず、正確に動くための行動指針を整理する。
逮捕から起訴までのタイムライン
| 時間 | 手続き |
| 逮捕 | 警察署で取調べ開始 |
| 〜48時間 | 警察から検察に送致 |
| 〜72時間 | 検察官が勾留請求 or 釈放 |
| +10日 | 勾留期間(延長で最大+10日) |
| 最大23日 | 起訴 or 処分保留釈放 |
この23日間で起訴・不起訴が決まる。身柄拘束下で取調べが続き、不利な供述を取られると後戻りできない。
72時間以内にやるべき5つのこと
1. 家族の所在を確認する(最初の行動)
- 逮捕された警察署に電話
- 担当の警察官の名前と連絡先を控える
- 「面会はできるか」を確認
2. 弁護士を選任する(急ぐ)
選択肢は3つ:
#### (A) 当番弁護士を呼ぶ(無料)
- 警察署経由で弁護士会に連絡すると、無料で1回だけ弁護士が来てくれる
- 最初の接見(弁護士との面会)で助言を得られる
- 依頼につなげる or 別の弁護士を探す
#### (B) 私選弁護人を選任する(有料)
- 自分で刑事事件に強い弁護士を探す
- 着手金30〜70万円程度が相場
- 対応スピードが速い
#### (C) 国選弁護人を待つ(無料だが遅い)
- 勾留が決定した後、裁判所が選任
- 勾留決定までは付かない(72時間の空白がある)
- 弁護士を選べない
推奨:(A)当番弁護士を即座に呼び、同時に(B)私選弁護人を検討する二段構え。
3. 家族(本人)への差し入れを用意
- 衣類(着替え)
- 書籍(本人が希望するもの)
- 現金(限度額あり、警察署に確認)
※スマホ・タブレットは差し入れ不可。
4. 職場・学校への連絡をどうするか検討
- 休む理由を「体調不良」等でぼかすか、正直に説明するか
- 弁護士と相談してから決める(刑事事件は報道リスクあり)
5. 相手方との接触を避ける(被害者がいる場合)
- 被害者との示談交渉は必ず弁護士経由
- 家族が直接謝罪に行くと「圧力をかけた」と捉えられる
当番弁護士 vs 私選弁護人
| 当番弁護士 | 私選弁護人 |
| 費用 | 初回無料 | 着手金30〜70万円〜 |
| 呼び方 | 警察経由 | 自分で連絡 |
| 担当者 | 選べない | 選べる |
| 接見回数 | 1回のみ | 無制限 |
| スピード | 数時間〜1日 | 即日(事務所による) |
金銭的余裕があるなら私選弁護人を強く推奨。刑事事件は経験差が大きく、「刑事弁護の経験豊富な弁護士」と「普通の民事中心の弁護士」では結果が全く違う。
刑事弁護に強い弁護士の見分け方
- 刑事事件の取扱い実績を明示している
- 無罪判決・執行猶予獲得の実績がある
- 24時間対応が可能
- 弁護士マップの懲戒処分歴がない、もしくは古いもののみ
接見禁止の壁
家族の面会を妨げる「接見禁止」が付く場合がある:
- 共犯事件(口裏合わせ防止)
- 被害者との示談が未成立
- 逃亡・証拠隠滅のおそれ
接見禁止中でも弁護士は面会可能。これが弁護士を選任すべき最大の理由だ。家族との唯一のパイプになる。
保釈の可能性
起訴後、保釈で身柄が解放される可能性がある。
- 保釈金:100万円〜数百万円(事案次第、後で返還される)
- 認められるには、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことの立証が必要
- 弁護士が保釈請求書を出す
起訴前は保釈制度がないため、起訴される前に釈放を目指す(処分保留・不起訴)のが本丸。
やってはいけないこと
1. 警察・検察の取調べで本人を焦らせる
面会で「早く認めなさい」「迷惑かけないで」と言わない。本人の供述は後の裁判で決定的な証拠になる。
2. 被害者に直接連絡
「謝罪したい」気持ちは分かるが、逆効果。必ず弁護士経由。
3. SNS・ネットに書き込む
刑事事件は報道されないケースもある。自ら拡散してしまうのは致命的。
4. 弁護士選びで値段だけ比較
最安値の弁護士 = 刑事経験が浅い可能性。刑事弁護は専門性が重要。
費用の相場(私選弁護人)
| 項目 | 金額目安 |
| 着手金 | 30〜70万円 |
| 不起訴獲得 | +30〜50万円(成功報酬) |
| 執行猶予獲得 | +30〜50万円(成功報酬) |
| 無罪獲得 | +50〜100万円(成功報酬) |
| 保釈成功 | +10〜20万円 |
総額で100〜300万円になるケースが多い。経済的に苦しければ、国選弁護人(無料)も検討。
まとめ
家族が逮捕された時の最優先事項は弁護士の確保。当番弁護士を即呼び、同時に私選弁護人を検討する。
刑事事件は時間が最大の敵。一晩の判断遅れが、数ヶ月の勾留や起訴につながる可能性がある。冷静に、迅速に行動してほしい。