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弁護士会照会制度とは?依頼者の目線で知っておくべき活用場面

弁護士マップ編集部
5分で読める

弁護士に依頼すると使える「特別な調査権」

「相手の住所が分からない」「相手が会社でいくら稼いでいるか調べたい」──個人では調べようがない情報を、弁護士に依頼すると合法的に取得できる場合がある。これが「弁護士会照会制度」(23条照会)だ。

多くの依頼者が知らないが、慰謝料請求や養育費強制執行、交通事故示談などで強力な武器になる。

制度の仕組み

正式名称:弁護士法23条の2に基づく照会

  • 弁護士が、所属弁護士会を通じて、公私の団体に情報開示を請求できる
  • 「職務上必要な事実の調査」が理由なら認められる
  • 各弁護士会が照会の必要性を審査して許可する

個人や探偵には使えず、弁護士にしかない権限

取得できる情報の例

1. 住所・所在情報

  • 住民票の写し(市区町村長への照会)
  • 不在者住居所の調査
  • 携帯電話の契約者情報(キャリアへの照会)

2. 財産情報

  • 銀行預金残高・取引履歴(銀行への照会)
  • 株式保有状況(証券会社)
  • 不動産の所有状況(法務局の登記簿は誰でも取れるが、未公開情報の補完

3. 勤務・所得情報

  • 勤務先・給与額(会社への照会)
  • 厚生年金の加入状況(日本年金機構)
  • 税金の滞納状況(税務署)

4. 事故・事件関連

  • 交通事故の刑事記録(検察庁への照会)
  • 医療記録(病院への照会)
  • 携帯電話の通話履歴(裁判所の開示命令が別途必要な場合も)

活用される典型場面

1. 養育費の強制執行

離婚後、元配偶者が養育費を払わない時:

  • 勤務先を照会して特定
  • 給与差押えの準備
  • 預金口座の照会

支払わない相手を逃がさないための必須調査。

2. 交通事故の損害賠償

加害者が任意保険未加入:

  • 加害者の財産状況を調査
  • 勤務先を把握して給与差押えを検討
  • 賠償金の回収可能性を見極める

3. 貸金の回収

貸した相手が音信不通:

  • 現住所の特定
  • 勤務先の確認
  • 訴訟・強制執行の準備

4. 誹謗中傷の加害者特定

  • プロバイダへの発信者情報開示請求(別の仕組みだが類似)
  • 携帯電話の契約者情報

照会の流れ

ステップ1:依頼者から弁護士へ

「相手の○○を調べたい」と弁護士に依頼。

ステップ2:弁護士が照会申出書を作成

  • 照会先(銀行、市役所、会社等)
  • 照会事項
  • 調査の必要性の説明

ステップ3:所属弁護士会の審査

  • 必要性・相当性があるか
  • プライバシー侵害にならないか
  • 認めれば弁護士会名義で照会書発送

ステップ4:照会先が回答

  • 回答義務は法律上あるが、拒否する機関も多い(特に銀行)
  • 回答までに2週間〜2ヶ月

ステップ5:弁護士から依頼者へ報告

費用

  • 弁護士会への申出手数料:8,000〜10,000円(1件あたり)
  • 弁護士の手数料:事務所により異なる(照会1件あたり1〜3万円上乗せ)

総額2〜5万円 × 件数。調査先が複数なら比例して増える。

照会が通らないケース

1. 銀行預金・取引履歴

最も拒否されやすい分野。銀行は顧客のプライバシー保護を盾に回答しないことが多い。

  • 判決・差押命令があれば強制可能
  • 照会段階では任意回答が原則

2. 携帯キャリア

個人情報保護法を理由に、個人の携帯番号から契約者を特定する照会は拒否されるケースが多い。

3. 目的不明・必要性が弱い

  • 「なんとなく知りたい」は不可
  • 法的手続きの準備が目的である必要

依頼者が知っておくべきこと

1. 時間がかかる

交通事故や離婚など、時効が迫る案件では間に合わないケースも。早めの依頼が重要。

2. 成功率は分野次第

住民票照会:ほぼ100%

勤務先照会(会社対応):70〜80%

銀行預金:30〜50%

過度な期待は禁物。

3. 相手に知られることも

照会によって「自分が調査されている」と相手に気付かれるケース。

例:勤務先への照会 → 会社から本人に連絡が行く可能性

個人でできる代替手段

住所特定

  • 住民票の職務上請求は弁護士/行政書士のみ
  • 個人では原則不可

財産調査

  • 調査会社・探偵(違法な手段を使う業者もいるので注意)
  • 法的な強制力はない

訴訟中の情報取得

  • 裁判所に「文書送付嘱託」を求める(裁判所経由の照会)
  • 文書提出命令」(相手に開示を強制する命令)

活用のベストプラクティス

  • 弁護士選任時に「弁護士会照会」の経験を確認
  • 調査の優先順位を明確にする(全部は無理、重要度順)
  • 時間と費用の見積もりを事前に取る
  • 目的外使用を避ける(調査で得た情報は本件のみに使用)

まとめ

弁護士会照会制度は、一般人が使えない強力な調査手段。使えば勝訴可能性が上がり、使わないと泣き寝入りになるケースもある。

弁護士に依頼した時、「この問題で相手の○○を調べられますか?」と聞いてみる。選択肢が広がる。

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