「近くに弁護士がいない」問題、ついに解消
鳥取県の弁護士は76名。秋田県は77名。島根県は79名。地方に住むと、選べる弁護士がそもそも少ない。分野特化の経験豊富な弁護士を見つけるのは、ほぼ不可能に近い。
しかし2020年以降、オンライン相談が急速に普及し、状況は大きく変わった。地方から東京の専門弁護士に相談できる時代になっている。
オンライン相談の現状
コロナ禍以降、ほぼ全ての弁護士事務所がオンライン相談に対応するようになった。使用ツールは:
- Zoom(最多)
- Google Meet
- Microsoft Teams
- LINE ビデオ通話
- 専用ウェブ会議システム
対面と変わらない画質・音質で、書類共有もスムーズ。
メリット
1. 地理的制約がなくなる
- 東京の企業法務専門弁護士に、北海道から相談可
- 大阪の離婚に強い女性弁護士に、福岡から相談可
- 住む場所で弁護士が決まらない
2. 移動時間ゼロ
- 事務所への往復がない
- 忙しいビジネスパーソン・育児中の親も利用しやすい
- 相談者側の精神的負担も軽い
3. 家族の同席がしやすい
- 離れて住む家族と画面共有で相談
- 相続などで相続人全員が集まる手間が省ける
4. 書類のやり取りが楽
- 画面共有で書類を確認
- メールで書類送付、画面で一緒に見る
- 書類を持参する必要なし
デメリット・注意点
1. 微細なニュアンスが伝わりにくい
- 表情・空気感が画面越しでは薄まる
- 重要な局面(和解の決断、裁判方針の最終確定)は対面がベター
2. 証拠の原本確認が難しい
- 重要書類の真正性を原本で確認する必要がある場合
- 郵送やり取りが追加で発生
3. IT環境への依存
- ネット速度が遅いと途切れる
- デバイス操作に慣れていない高齢者は難しい場合も
- 自宅で静かに話せる環境が必要
4. 「この弁護士に頼む」の決断が遠隔になる
- 対面で感じる「この人なら信頼できる」の感覚が取りにくい
- 初回は対面、その後はオンラインという組み合わせも有効
オンライン相談に向く案件・向かない案件
向く案件
- 契約書レビュー(書類共有で十分)
- 一般的な離婚・相続・労働相談
- セカンドオピニオン
- 業界特化の専門相談(IT・医療・金融)
向かない案件
- 刑事事件(接見・取調べ立会いが必要)
- 複雑な遺産分割で現地確認が必要
- 不動産紛争で現地実査が必要
- 高齢者・認知症者の相談(本人確認・意思能力確認が難しい)
オンライン相談の料金
- 対面と同額が多い(30分 5,000円〜10,000円)
- 初回無料としている事務所も増加
- 決済は振込・クレジットカード
オンラインでも料金変わらないのは当然(弁護士の時間単価は変わらない)。
オンライン相談を選ぶ際のチェックポイント
1. 対応ツール
自分が使い慣れているツールに対応しているか。Zoom が最も無難。
2. 予約の取りやすさ
- ウェブ予約フォーム
- 電話予約
- LINE 予約
ウェブ予約ができる事務所はITリテラシーが高く、オンライン対応もスムーズな傾向。
3. 初回対応スピード
- 予約から相談まで何日か
- 緊急対応可能か(即日等)
4. 書類のやり取り
- メールで事前送付できるか
- セキュリティ(暗号化メール等)の対応
準備のコツ(対面と少し違う)
1. 事前に書類をPDF化
スマホで撮影 → PDF に変換 → 事前にメール送付。相談当日スムーズ。
2. 静かな場所の確保
- カフェは不向き(守秘性に問題)
- 自宅の個室が理想
- やむを得ず職場から相談する場合はイヤホン必須
3. メモ取り環境
- 紙とペンを手元に
- メモアプリを別ウィンドウで開いておく
- 録画・録音は事前許可を取る
4. 照明と背景
- 暗いと顔が見えず、弁護士もやりにくい
- プライバシーのため背景ぼかし推奨
オンラインで弁護士を探す方法
弁護士マップで地域指定なしで検索し、分野で絞り込む:
- 東京の弁護士全員が対象に含まれる
- 経験・口コミ・費用で比較
- ウェブサイトで「オンライン相談対応」を確認
「地域」を絞り込むのは、初回相談後に継続依頼するなら通える範囲を考慮する場合のみ。オンライン相談なら全国から選べる。
オンライン相談の落とし穴
1. 「とりあえず話を聞く」で終わる
- 対面より緊張感が薄れ、話がまとまりにくい
- 「この方針で進めます」の合意を取らないと、次に繋がらない
2. 料金の入金タイミングトラブル
- 「相談後に振込」だと、相談者が払わずフェードアウトするケース
- 先払いの事務所が増えている
3. 書面化を怠る
- オンラインで口頭合意しただけで終わらない
- 必ずメールで要点をまとめて送る
まとめ
オンライン相談は、地方・地域格差を解消する強力な武器。専門特化の弁護士に、どこからでもアクセスできる。
一方で、対面相談ならではの価値もある。初回は対面、その後はオンラインという使い分けが、今の時代の弁護士との付き合い方として最も現実的だろう。